ボーナスは一度に投資か、それとも分割して投資したほうがよいのか?【試算ツールも紹介】

そろそろボーナスの時期ということで、まとまった金額を投資に回そうと考えている人も多いのではないのでしょうか。僕も多くはない給料を貰っている中で、やはりボーナスは金額的な重要性が高く、年間二回発生する嬉しいイベントです。

僕はボーナスはほぼ全てをインデックスファンドを通して株式市場へ投資する予定ですが、その前に一つ考えておきたいことごあります。それは全額を一度に投資に回してしまうのか、数回に分けて一定の時間をかけた方がいいのかという問いです。

一度に投資する手法をLump sum investing、そして複数回に分ける方法をDollar cost averaging(以下DCA)といいます。

一度に投資に回してしまうと、もしその次の日に暴落してしまったら…?というような不安を抱く人も多いようです。何回かにバラした方が下がった時にまた買い増しができるし良いのではという考えのようですね。最近はよくニュースで株高が騒がれているし…なんていうのも実にごもっともな意見だと思います。

そんな中、僕はボーナスは全額一気に投資に突っ込んでしまう派です。なぜかというと、そちらの方が将来のリターンが大きくなる可能性が高いからです。

全額を一気に投資すべきだという論拠

アメリカの世界最大規模の資産運用会社、Vanguardもこの問題についてホームページにて言及しています。下記の一文ですが、すぐに一度に投資してしまうのが良いということです。

Our research indicates that it’s prudent to invest a lump sum immediately.

How to invest a lump sum of money(Vanguard HPより)


この発言を裏付ける研究を探してみたところ、Vanguardが2012年に公表しているものを発見しました。(何故か現在公式ホームページからは見つからなくなっていますが…)この研究ではアメリカ、イギリス、オーストラリアの過去の株式市場のデータから両手法を適用した際のそれぞれの結果を検証しています。結果としてはやはりLump sumの方が66%~67%の場合において優位なリターンを生み出すとのことでした。

On average, we find that an LSI approach has outperformed a DCA approach approximately
two-thirds of the time, even when results are adjusted for the higher volatility of a stock/bond portfolio versus cash investments.

Dollar-cost averaging just means taking risk later by Vanguard,2012

実際にシミュレーションをしてみよう!

ちなみにこの研究のような結果を自分の目で確認できるツールもあります。Personalfinanceclub.comというホームページ上で公開されています。このツールを使えば好きな金額を一気に投資する場合か、何ヶ月かに渡って分割して投資した場合の結果を比べてみることができます。試算用に使われている株価はアメリカの主要な会社を連ねたS&P500インデックスの1871年まで遡るデータを採用しているとのことです。

例えば下記の条件でシミュレーションをしてみます。

  • 投資する金額:$10,000(100万円を想定しています)
  • DCA(分割して投資)する場合の期間:6ヶ月
  • 何年間投資しておくか:40年
Personalfinanceclub.comのシミュレーターで試算した結果。
一気に全額を投資したほうが優位な結果が期待できるのが見て取れる。

結果を見てみると…65.2%の確率でLump sumの方に軍配が上がりました。Best Performance (1番結果が良かった時)の金額同士を比べてみても、一度に投資してしまった方は$1,429,803(1932年6月-1942年6月)なのに対して、DCAは$1,160,106(1947年8月-1987年8月)となり、約270K USDの差があります。ポテンシャルという意味でもLump sumの方が優位という結果となりました。

色々と条件を変えてシミュレーションをしてみても、やはり似たような結果に落ち着きます。みなさんも自分が実感が湧く現実的な数値を用いて色々試してみてください!

ということで、確率的な話で考えるのであればLump sumで一気に全額賞与を投資してしまったほうが高いリターンを期待できるという意味で、DCAはしない方がいいようです。僕はこの考えに基づいて自分のボーナスの処遇を決めています。

長い期間での資産形成を目的に投資しているのもあって、個人的には仮に投資直後に株価が下がったとしてもそこまで気にしません。10年、20年の長いスパンで見た時にはいずれまた資産は増えていると信じていますから。

それでもやっぱり暴落が不安!という方へ

とは言え、やはり多額のお金を思い切って投資に回した挙句にすぐ含み損を抱えてしまうことに対して心配してしまう気持ちも本物だと思っています。人によってrisk toleranceというものは異なるはずですから。

先ほどのVanguardの研究も、Lump sumの優位性を示してはいるものの、DCAの有用性をバッサリと切り捨てているわけでもありません。サマリー内でも下記のような記載があります。

But if the investor is primarily concerned with minimizing downside risk and potential feelings of regret (resulting from lump-sum investing immediately before a market downturn), then DCA may be of use. 

Dollar-cost averaging just means taking risk later by Vanguard,2012

さらに、DCAを採用したからといって、そこまで激しく損をするわけでもないのです。先ほどのシミュレーションツールに戻ってみると、Lump sumが同期間中に1番DCAを突き放した期間(Biggest Outperformance)の結果を見てみても、リターンの年率が12.4% vs 11.5%(1933年3月-1973年3月)ということで、最大0.9%の差程度しかないということがわかります。

Biggest Outperformanceに着目するとそこまでの差は生まれていない。

もちろん投資(特にインデックスファンド)の世界ではこの0.9%という年率も無視することはできない数字ではあるのですが、考えてもみてください。ベストなやり方ではないにせよ、11.5%/yearという成長がちゃんとあるではないですか。

ほぼ利率0の預金口座に入れておくより、はたまたベッドの下に大事に隠しておくより遥かにお金に仕事をしてもらっています。何はともあれ投資するという選択をすることが大事ということですね!

ということで、みなさんも自身のリスク耐性を考慮したうえで納得のいく方法を考えて、ボーナスをインデックスファンドに突っ込みましょう!ではまた!

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