【FIREを目指す人は要注意】One More Year Syndromeとは?

FIREまであと一歩!というところまで資産形成を進められた人たちが遭遇するのが、「One More Year Syndrome (あと1年症候群)」と呼ばれる現象です。
仕事を辞めても生きていけるぐらいのお金を貯めたはいいけれど、実はもっと資産が増えるまで働いた方が株価が暴落するリスクを考えると安全なんじゃないのかとか、もう少しお金があればリタイア後により贅沢な生活ができそうだとか、様々な考えが頭をよぎり結局もう一年、もう一年…とずるずる仕事を続けてしまうという人は少なからずいるようです。

これはかなりリアルな問題で、僕もおそらく一旦の目標金額である5000万円(4%ルールによるとこれにより年間200万円の支出が可能になります)を貯めた後にも、すぐには仕事を辞めようとは思わないかもしれません。というわけで、今のうちになにが最適な方法なのかを考えておきたいと思います。

必要より長く働く理由1 : 資産の引き出し率を下げたい

これはなかなか真っ当な理由でしょう。FIREの目標とされる4%ルールとは、以前から書いてきたように30年をこえてリタイアを楽しもうとする人には妄信的に従うにはリスクが高すぎます。ERNの研究によると3.25-3.5%まで引き出し率を持ってくることができれば、60年間にわたる退職期間があったとしても高い確率で資金が底を尽きることはなくなります。

ということで、年間200万円の支出を予定している場合には、当初の4%ルールに従う計画では25倍の5,000万円が溜まった時点で目標達成ですが、そこからさらに2-3年働くことで、より安全性の高いアーリーリタイアを実現することができます。これは十分理にかなったアイディアであり、将来的な安定性をたったの数年の労働と引き換えに手に入れることができるのですから。

必要より長く働く理由2 : リタイア後にもっとお金を使いたい!

理由1はもっともなもので、数年長く働くなら充分に理解できることですが、それに比べてこちらはよく気をつけなければなりません。これがFIREコミュニティの中でよく話題に上るOne More Year Syndrome の原因です。「健康的で文化的な最低限度の生活」なら、もう一生働かないでも暮らせるぐらいお金は貯めたけど、やっぱり退職後には時間も有り余るほどあるのだし、贅沢がしたい!と思う気持ちはよくわかります。せっかく労働から解放されて自由を謳歌するのだから、自分が楽しめる趣味の一つや二つがあっても良いでしょう。

だからと言って、あれも欲しい、これも欲しい、なにが食べたい、そこにも行きたいと思いつく限りの贅沢を叶えようとするのは危険です。何度も言っている通り、お金と時間とモノの三者は全てトレードオフの関係のあるのです。このトレードオフを具体的に理解するために、僕の場合を例にしてリタイア後の贅沢を叶えるために何年間余計に働かなければならないのかを考えてみましょう。

リタイア後に考えられ得る贅沢なお金の使い道。
全て叶えようとすると何年も長く働かなくてはなくなる。

上記の表をご覧ください、リタイア後に必要最低限以上の消費の仕方と、それにかかる年間の費用、それを賄うために必要な投資資産、そしてその投資資産を貯めるために、年間400万円を貯蓄できたとした時に何年かかるのかをまとめてみました。そもそも吝嗇家の気がある僕の考えた贅沢リストなので大したアイテムも思いつかなかったのですが(笑)そんな僕でもなんとかひねり出した贅沢なお金の使い方です。

一つ一つのアイテムは大したことないと感じても、これらが積み重なれば膨大な額のお金が必要となり、それだけ労働に縛られる年数が長くなることがよくご理解いただけると思います。今回の例ですと、リタイア後に表の内容を全てまかなえるようになるために、6年間も(!)長く働かなければならないという結果になりました。それを価値あり(worth it)と思える人もいるかもしれませんが、個人的には海外旅行分の2年間だけ長く働いて、残りの4年は限りある若さの中で自由を謳歌していたいですかね。

One More Year Syndromeへの現実的な対処法は?

この問題へのアプローチの仕方として僕からの提案は、ある一定の金額を年間の贅沢用の資金としてFIRE計画に入れるという方法です。例えば50万円は一年に自分の自由に使えるように、その25倍の1,250万円を追加で投資資産として貯めておきます。そして最低限の生活費より多くの支出を要する際には、この金額の中でやりくりするという計画を立てるのです。

そうすれば、ある年は海外旅行に行って多めの支出をしてみたり、またある年には少し値段のはるものを購入する代わりに旅行は比較的安価な国内にしておくなどと、柔軟に使い道を考えて使うことができます。もしこの金額で収まらないのであれば、そこは自分でよく考えた上でなんらかの形でお金を稼げばいいのです。バイトでも、ギグワークでも。このブログのマントラみたいになってきましたが、柔軟性。すごく大事ですね。(Flexibility, y’all!)

さらに言えば、こうしてバッファを持つことで、思わぬ怪我や病気をしてしまったりした際に医療費等例外的な費用が発生したとしても、その年は趣味に回すお金を我慢することで乗り切れる可能性が高まります。

1,250万円であれば、僕ら夫婦の場合は大体3年もあれば貯めることができるでしょう。3年の労働期間と引き換えに、リタイア後の生活をより豊かにできるのであれば構わないと思う可能性は高そうです。もちろんその時点での職場の環境等いろいろ考慮すべき点はありますけど。逆にリタイア後に今よりずっと出費の高い生活をしたいからといって、何年も必要より長く働くのは、僕からしたらそれはworthではないですね。

自分にとってどこまでお金があれば十分であるのか、FIREを目指す皆さんも是非考えてみてください!

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