FIREムーブメントは少しずつ知名度を上げてきているようで、日本語でニュースを検索してもちらほら記事がヒットします。ただ、検索してでてくる記事を見ているとやっぱりFIREには変なイメージがついて回ってそうだなという印象を受けます。最近だと下のようなタイトルがつけられた記事を見つけました。まあメディアもクリックしてもらおうと必死ですし、仕方のないことかなとは思いますけどね。
「年収3000万円でも米と豆だけを食べて収入の70%を貯金! 早期リタイアのために支出を切り詰める人が増加中」
Business Insiderより
FIRE=修行僧ではない
FIREとは、究極的に言えば今の贅沢と将来の自由を天秤にかけて、自分に適したバランスを見極めるという生き方の選択のことです。メディアや広告なんかが喧伝する現代のConsumerismに浸かりきって、一度限りの人生を消費してしまわないように、お金を使うということに対して意識的になろうという考え方です。
とは言っているものの、やはりこんな抽象的な教義を掲げるよりも、具体的な話をした方が良いでしょうね。ということで本記事では僕がFIREによって35歳ぐらいでアーリーリタイアするために今犠牲にしていることを考えてみたいと思います。その上で本当にその犠牲と引き換えにしてまで早期退職がしたいのかをもう一度考えてみます。
僕はFIREのために何を犠牲にしているのか?
前回の記事で書いたように、僕ら夫婦は500万ちょっとの手取り年収から大体年間300万円をインデックスファンドへの投資に回しています。この投資が複利の力により10-12年増え続けることで、年間支出約200万円の大体25倍である5,000万円に到達し、4%ルールという法則に則りFIRE達成をしたということとなり、もう働かなくても良くなるという計画です。
つまり、この投資に回している年間300万円が僕らが今犠牲にしているものとなります。もしFIREなんか考えてなく、65歳もしくは70歳になるまでバリバリ働いて、その後は年金と退職金をあてにして生きていくという選択をするのであれば、この年間300万円は全て使ってしまっても良いということなります。投資に回す必要がなければいったいこのお金で何ができるのか、つまりこの300万円の機会損失(Opportunity Cost)を考えてみましょうというのが本記事の狙いです。
余剰資金300万円の使い道を考えられるだけ挙げてみました
・高い肉を買う・・・我が家の食事で肉を買う際は、安くて100g50円の鶏胸肉、高くても100g150円の豚肉ぐらいで、牛肉はあまり食べません。支出を増やすなら200~300円のちょっといいものを買ってもいいかもしれませんね。二人で月に4キロの肉を消費していると仮定すると、月6,000円、年間7.2万円の支出増です。
・外食を増やす・・・外食は月に1-2回しています。高くても月に1万円ですかね。これを毎週末外食をすることとして月に4回とすれば、月1万円の増額で年間12万円となりますね。
・家賃を上げる・・・今の僕らの家賃は8万円なので、10万円や12万円ぐらいのもっと広くて新しい物件に移り住むことも可能です。月4万円の増額で年間48万円の支出増となります。
・被服費を増やす・・・身だしなみに気を使わないわけではありませんが、このブランドじゃなきゃ嫌!といつ強いこだわりもありません。各シーズン通して着れる服はすでに持っているため、新しい服を買うのは買い替える必要が出てきた場合ぐらいで、そんなに頻繁ではないのが現状です。支出を増やすならちょっと積極的に買うようにしましょうということで、二人で月2万円を考えましょうか。年間24万円です。
・旅行を増やす・・・旅行は好きです。大学時代は長期休暇のたびに海外旅行なんかもしていました。ただ社会人になってから少なくなりましたね。特にまとまった休みを取れるハイシーズンなんて航空券の高さにはびっくりしました。ただ支出を増やすのであれば、ここはかなり優先度が高いでしょうね。年間30万円としましょう。
・ゲームを買う・・・ゲームも夫婦共通の趣味なのでゲーミングPCやスイッチとかでよく遊んでいます。しかしPCゲームはSteamのセールでかなり安く買えることも多く、そんなにお金は使っていません。月5000円分増やしてみましょうか、年間6万円です。
・スマホ、その他家電を買う・・・iPhoneを毎年買い換えてみましょうか。二人で年間20万円としましょう。
どうでしょう?ざっと思いつく限りで僕にとっての贅沢を挙げてみましたが、これでも年間約150万円の増額にしかなりません。もうまだ半分余っています。もともとお金に関しては質素な(ケチな?)性格なのかもしれませんが、いまいちお金の使い道が思い浮かびません…。あとは車を買うぐらいですかね?
上記の贅沢は必要なのか?
上記に挙げてみたような使い道で贅沢な?生き方をしながら65歳になるまであくせく働くのか、それとも35歳でセミリタイアして30年の追加の自由時間を得るのか、僕からしたら答えは完全に明らかです。より多くのモノを購入したところで、それらがもたらす幸福感、満足感は限られているでしょう。そしてそのような形の新しい刺激を常に求めているとしたら、高いものを買っても3日後に考えていることは「次はなにを買おう?」でしょう。贅沢に際限はない一方、リソースは限られているのです。物欲はほどほどにして、どこかで区切りをつけなくてはなりません。
さらに言えば、これらのモノやコトにお金を費やすのは確かに「生活の質」のようなものを向上させてくれるのかなとは考える一方で、特に必要でもないなと思うのが正直なところです。というのも、前回の記事に書いた年間200万円の出費の中で自分が結構満足できるような生活を送れているからです。住んでいる部屋は広いわけではないですが、二人で住む分には充分だと感じています。食事も夫婦で自炊してなかなか美味しいものを好きに作れますし、娯楽に関してもインターネットは無限の可能性が広がっていて、読書だってコスパの観点からみてもすごい良い時間の使い方です。そんなに頻繁なわけではありませんが、友人と宅飲みしたり遊びに出かけることもしています。今の生活レベルで何かを我慢してひもじい思いをしているわけではないということですね。
FIREの予算を再考する
ただ、今回このように自分のお金の使い道を考えたことで、FIREの計画について改めて検討しなければならないことがわかりました。それはもう少し贅沢や、高額な買い物をする必要性がでてくる可能性を考慮した方がいいのではないかということです。スマホやPCを買い換えるタイミングは毎年ではないにせよ必ず訪れます。それから旅行をするといった娯楽費をもう少し考えてもいいのかなと思います。今でも前回の記事に書いたように月1.5万円の娯楽費を予算としていますが、これでは海外旅行がしたくなったら足りません。これらを合わせて年間いくらかどうかはこの先を見てみないとわからないですが、とりあえず30万円追加で予算を組みたいと思います。200万円のベアミニマムの生活費に、今回の30万円で年間230万円の支出となりますね。
こうなると支出の25倍を貯めてFIREするためには追加の30万円×25なので750万円が必要になり、FIREの目標額は5000万円から5750万円へと上がります。これは前の記事でお見せした下の表を確認すると1~2年間長く働く必要があるということとなります。まあそれぐらいならいいのかもしれません。または元々の予定通り5000万円の時点でセミリタイアをし、年間30万円を何かしらの形で稼ぎ出すという手段もあります。バイトでもしててもそんなに難しくない数字ですよね。どちらの手段を取るのかは今後検討していきます。
