投資利益に課される重たい税金
以前の記事で、FIREのための投資の柱となるインデックファンドの話をしました。
4%ルールに則れば、年間支出の25倍の金額をインデックスファンドのような分散された投資資産として貯めれば、経済的に独立したということとなり、もう仕事をしなくても投資資産から毎年4%だけ引き出して使って生きていくことができます。
しかし、一点だけどうしても忘れてはならないことがあります。みんなの大好きな税金です。日本においては、株式投資で得た利益には20.315%の税金が課税されます。正直に言って、金額に関わらず利益の5分の1を持っていかれるのは痛すぎるところです。4%ルールは税金を考慮に入れていないため注意が必要です。引き出した4%丸々に課税がされていたら実質使えるのは3.2%になってしまいます。年間支出が200万円だからといって、5000万円あればなんとかなると思っていると痛い目にあってしまいます。実際はすべての投資益に課税がされるのであれば、年間4%の250万円が引き出せる6250万円の投資資産が必要となります。(6250万円の4%は250万円、税金として約20%の50万円が引かれ、200万円が残るという計算)
この前提だと4%ルールは成り立たず、実は3.25%ルールだったという話になります。まあ4%ルールで予算を立てる際にそもそも税金で引かれる金額も支出として計算しておけば何も問題ないですが、どちらにせよ日本でFIREをするためにはこの約20%の税率は大きな壁です。
それでも希望を捨ててはいけません。非課税で投資できる方法もあります。それが最近話題のNISAとiDeCo/確定拠出年金です。投資をするならまずこれらの方法を活用しましょう。これら2つの制度は簡単にいってしまえば個人の資産形成を助けるために用意されたものであり、様々な税制上の優遇を受けることができます。どちらの制度でも以前の記事で紹介したインデックスファンドに投資をすることができるので、やらないだけ損です。必ず非課税の投資は行いましょう。
積み立てNISA
まずは積み立てNISAを利用しましょう。積み立てNISAは年間40万円までの投資なら、20年間の運用益に税金がかからなくなるという素晴らしい制度です。その前にできたNISAという制度では5年間という縛りがあったため、20 年間運用できる積み立てNISAの方が長期のインデックス投資に向いていると思います。大体どのネット証券からでも利用ができるはずで、僕は楽天証券から積み立てNISAをしています。積み立てNISAを利用して毎月の購入額を決めるということ以外は、普通の課税口座で投資をする時と特になにも違いはありません。
iDeCo、あるいは確定拠出年金
iDeCoはNISAと同じく運用益が非課税になることに加え、投資した金額が所得から控除されるというとんでもない制度です。iDeCoは個人で楽天証券等の証券会社を通じて申し込むもので、確定拠出年金というのは勤務先の企業が制度を用意している場合に会社を通して行えるというものです。正直どちらも大きな違いはないので自分に便利な方を利用しましょう。僕は会社の確定拠出年金を利用して、毎月2万3000円程を投資しています。iDeCoの枠で投資可能な金額は年収や職業形態によっても変わるようですが、一般的なサラリーマンの場合には大体僕と同程度のようです。
iDeCoのおいしいところは投資した金額を所得控除できるというところです。この金額は直接給与としてもらっていたら、所得税および住民税の課税対象になっていたものです。つまり、これらの税率を20%と仮定するならば、確定拠出年金を利用するだけでまず年間5万5200円も節税ができているのです。
iDeCoには一点だけ注意しなければならないことがあります。それは60歳になってからでないと投資したお金を引き出せないということです。つまり僕のように若いうちからFIREを実行しようとしている人は、iDeCoで投資したお金はしばらく使えないため注意が必要です。と言っても僕の場合、年間27万6000円と少額の投資のため、資産全体との割合的にはあまり気にする必要もないかもしれません。
積み立てNISAとiDeCoに関してはtantonetさんのこの記事でも丁寧にまとめられているので参考にしてみてください。
非課税投資は実際どれぐらいお得なのか?
以上2つの非課税口座について説明しましたが、いまいちお得感がピンとこない人のために非課税口座を利用した場合としなかった場合を具体的に比べてみましょう。(なおこの検証では計算を簡素にするため口座維持費等は省いてあります。)
楽天全米株式インデックスファンドのような分散されたインデックスファンドに投資を続けたとして、消極的に見積もり年間5%の利益が20年間の期間であったと仮定します。毎年100万円をこのインデックスファンドに投資したとすると、 20年後に総投資資産は3471万9252円にまで成長します。元々投資した金額は20年間合計で2000万円のため、1471万9252円の利益が出たということになります。
この約1470万円すべてが20.315%課税されると、約299万円が税金として引かれ、手元に残る利益は1172万円程度となってしまいます。
一方、毎年100万円の投資のうち40万円を積み立てNISA、27万6000円をiDeCoをそれぞれ活用し非課税で投資したとします。そうすると、課税される運用益は約476万円だけとなり、払わなければならない税金は約96万円と、大きく節税することができます。すべて課税口座で投資をしていた場合には299万円の税金が発生していたため、非課税投資を利用することで約203万円の節税、つまり三分の一以下に税金を抑えることに成功しました。加えてiDeCoの所得控除による節税効果が20年間で110万円程見込めるため、最終的に約313万円得をするという計算になりました。
いかがでしょう?非課税でできる投資は圧倒的に有利であることがおわかりいただけましたでしょうか。投資を始める場合にはまず積み立てNISAとiDeCoを優先して行いましょう。これらの枠を使い切ったら初めて普通の課税口座での投資を。
それにしても投資利益に課される20%の税金は中々辛いところがあります。金額に応じて累進性にするとか、もっと個人が非課税で投資できる額面を増やすとかして欲しいところですが、現状ではNISAとiDeCoを利用するしかないというところでしょうか。