結論
理論的には年収260万円から可能なはずです。
FIREへの歪んだイメージ
FIREムーブメント、FIREは少しずつメインストリームメディアで取り上げられるようになってきました。日本においてもそれは例外ではなく、日経ビジネスすらFIREを無視できないほどには知名度が上がっていると感じます。
多くの場合、メディアが伝える物事は様々なニュアンスが取捨選択され、ある種収斂されたイメージに沿ったストーリーばかりが記事になります。FIREに関してもこれは同じで、例えば年収1000万を捨てて30歳でリタイアするだとか、そんな少々人目を惹くことを意識しすぎたようなストーリーも目立ちます。
でもFIREは決して上位5%の限られた「成功者」にだけ許された贅沢ではないと僕は思います。全ては結局資金の入りと出の差をいかに増やすかということに行き着くからです。年収が2000万あっても、年間に1800万円の支出を計上していると何年経ってもFinancial Independenceは見えてこないのです。
逆に言うと年収が平均と呼ばれる400万円の人でも、支出に意識を向け収入の20%以上を投資資産にできれば、伝統的な卒業の齢である60-65歳を迎えるまでもなく、これ以上働かなくても生けていけるだけの資産を形成することが可能なのです。FIREの射程はメディアが伝えるものよりずっと広いのです。
FIREには年収最低いくら必要?
実際にFIREが可能になる年収の最低ラインを考えてみましょう。下のMr. Money Mustacheの表に出ているように、最低でも収入の20%を超える金額を貯蓄できないと、働き始めてすぐFIREを目指しても60歳以前には経済的自立を達成できないということになります。ということで、今回は収入の25%を投資に回し、大学卒業後22歳からFIREを目指し始め、32年後の54歳時点でFIRE達成するというプランを仮定しましょう。

つまり、FIREのために最低限必要となる年収は、生きていくために最低限必要となる支出を支払いつつ25%の貯蓄率を維持できる金額となります。生きていくために最低限必要な支出といっても場所や人にもよって諸々に差が出てきてしまうので、ここでは厚生労働省の定める最低生活費というものを参考にしてみましょう。これは生活保護費の基準となっている、最低限生きていくのに必要とされる金額のことです。

この表によると、東京都23区に住む20-40歳の単身者が生活に最低限必要とされる費用は月に131,640円となります。ラウンドして月13万円となると、年間としては156万円です。そして156万円を使いながら手取りの25%を貯蓄するとなると、必要な手取り年収は208万円の計算です。この最低生活費は健康保険等を考慮にいれていないので、必要となる額面の年収は大体260万円、月給にして額面21万6千円でしょうか。
以上、FIREを達成するために最低限必要な年収は額面260万円という結論になりました。一切の贅沢をしないというのならば、年収が300万円もなくてもFIREはできるのです。もちろんこれは理論値であり、年間支出156万円の生活をずっと続けていきたいかと言われると僕としては微妙ですが、、、どうでしょう?少なくとも1000万円もの高給は必要でないことはお分かりいただけたでしょうか。ミドルクラス程度の年収があり、自分の支出を注意深く取捨選択する意志さえあれば、誰でも経済的に自立することは可能です。経済的自立を達成すれば、仕事を辞めてしまうことも、趣味に生きることも全てあなたの自由になります。そのために一時の物質的な「豊かさ」をトレードするというならば、僕はイエスと即答できます。
実際僕たちは世帯年収で650万円程度ですが、貯蓄率を60%近くを達成しているのであと10-12年の間にはリタイアを達成できそうです。僕の具体的なFIREプランもそのうち記事にしてみたいと思うのでお楽しみにしててください!