支出の25倍を貯める前にFIREする方法があるって本当?BaristaFIREとCoastFIRE  

FIREの異なる形 BaristaFIREとCoastFIRE

FIREとは基本的に

・年間支出の25倍を投資資産として持ち、経済的自由(Financial Independence)に至る
・あとは仕事を辞めるなりなんなり好きに生きる

という事を目標にしたライフスタイルのことですが、この目標へのちょっと変わったアプローチ方法も存在します。BaristaFIREとCoastFIREというものです。

どちらも支出の25倍を貯めるという経済ゴールを達成する前にフルタイムでの仕事をやめ、もっと負荷の軽い仕事をして生きていくという選択です。この二種類は完全にFIREするわけではないということでsemiFIREと呼ぶこともできると思います。

BaristaFIRE

BaristaFIREとは、ある程度資産が貯まったらフルタイムの仕事をやめ、アルバイト等で足りない分の生活費をまかなっていくという手段のことです。

例えば年間支出200万円の人がいたとします。
この人がフルでFIREするためには25倍の金額である5000万円の資産がないとダメですが、もし3000万円貯めた時点でフルタイムの仕事をストップしたらどうなるでしょう。
4%ルールに則れば、3000万円の投資資産からは年間120万円を引き出せるということですので、足りない分の80万円をどこかから捻出すればいいということになります。

年間80万円ということは月に6万6千円ぐらいになるので、時給1000円のアルバイトをすると月に66時間、週に16.5時間働けばいいという計算になりますね。週2-3日勤務で賄えそうな時間数です。
こう考えるとフルタイムの仕事を辞めることってそんなに大変でもないのがわかりますね。

ちなみに何故Baristaなのか?それはアメリカだとスタバの従業員はアルバイトでも会社の健康保険に加入することができるからだそうです。以前の記事にも書きましたが、アメリカでは健康保険がFIREに際し相当悩ましい要因なんですね。
日本は国民健康保険があるのでそこらへんは気にせず自分のやりたいアルバイトを探せばいいと思います。BaristaFIREは、やってみたい仕事があるけどそれだとあまり良い収入を望めない、といった場合にも向いてるかなと思います。

一点だけBaristaFIREの欠点を挙げるとするならば、不足分を補うためだけに働いていたら結局FIには到達できないということです。つまりこの形のsemiFIREは結局働き続けなくてはならないということで、途中で健康上の問題が起こり働けなくなってしまったら?という不安もあります。
65歳になって国民年金が不足分を賄ってくれるならまだいいですが、もし年金をもらってもお金が足りないとなるといつまでもリタイアできないということになってしまいます。
この問題を解決するのがもう1つのsemiFIRE、CoastFIREです。

CoastFIRE

CoastFIREの作戦は、ある程度お金がたまったらフルタイムの仕事からアルバイト等に切り替えるというところでは上記のBaristaFIREと変わりはありませんが、CoastFIREは後々FIをしっかり達成することを目的としているところで異なっています。CoastFIREは、これ以上お金を足さなくても、リタイアを計画している歳になればFIに十分な金額に達しているだけのお金を貯金するという手法です。

Coastという言葉は動詞では元々滑空するという意味合いで使われ、それが転じて苦労することなくのんびりやっていくようなイメージを持つ動詞としても使われています。ある程度お金を貯めたら後は貯金のことすら考えずのんびりするのがCoastFIREということですね。

例えば年間支出が200万円だと仮定します。FIREに必要な金額は25倍の5000万円となりますが、35歳の時点で現在の仕事を辞め、生活に必要な200万円/年を賄えるだけの仕事をして生きていくとします。その際に貯めておくべきお金は一体いくらでしょう?65歳で完全に仕事を辞める、マーケットの利回りをインフレ込みで5%/年と仮定するなら、必要な金額はなんとたったの1150万円です。

若いうちにある程度の資産を築くことができれば、普通の定年退職をするような歳になったころには相当な資産を保有していることとなります。複利の力がいかに偉大であるかに改めて気付かされます。

CoastFIREとBaristaFIREのいいとこどり?

僕はBaristaFIREとCoastFIREのいいとこ取りをするようなプランを取ってみてもいいんじゃないかなと考えています。例えば僕のとりあえずの年間支出は200万円なので、フルでFIREするには5000万円が必要です。そこを3000万円を貯めたところで現在の仕事を辞め、毎年2%の60万円を引き出して使うこととします。生活に必要な金額は残り140万円となるので、それはバイトするなりなんなりして稼ぎ出します。仮定としては投資資産は上記と同様毎年5%増えるとしているので、2%差し引いた3%が毎年積み重なっていくとすることができます。

そうなると当初のFIRE目標額5000万円に到達するのは16-17年後となるため、仮に33歳からこの生活スタイルを始めたとすると、50歳の頃には完全に労働をストップすることができます。このプランならアーリーリタイアを達成しながらも、そこまでの道のりをフルタイムで働き続けるより楽にすることができるので、FIRE到達前にどうしても仕事が嫌になってしまったらこの道を選択するのもありかなと考えています。

semiFIREの道を取るのかはともかく、FIREを目指していれば途中で万が一の事態がありフルタイムで働くことができなくなったり、どうしても嫌になってしまった場合はバイト等に切り替えて生きていけますし、そのことを覚えておくのは心強いことだと思います。また以前の記事で書いたFIREまでの年数を見て、そんなに待てない、そんなに長く週40時間以上働かされるのは嫌だと感じた人にもこれらsemiFIREはオススメです。FIREの数字の半分が目標額になるのであれば、それまでにかかる時間だってぐっと短くなりますからね。