FIREの種類
FIREの在り方として、FIに到達した後にどれだけの支出のある生活をしたいかによって大まかに三種類に分かれます。
年間200万円〜400万円がleanFIRE
年間400万円〜1000万円がFIRE
年間1000万円〜 がfatFIRE
もちろん明確な基準があるわけではありませんが、だいたい上記のような感じでグループ分けされているようです。
leanとfatはそれぞれ体型を表すのによく使われる単語です。
lean bodyは脂肪があまりない状態のことを指しますが、決して痩せこけているわけではなく、しっかりと筋肉がついた身体を指します。年間支出200~400万円に相応しい、不必要なものを削ぎ落とした姿というわけですね。
fatの方は明らかですね。贅沢を叶えるための資産をたっぷりと持った、裕福な人と言ったらやはりleanとは対照的なイメージが浮かぶのでしょう。
何故カテゴリ分けをする必要があるのか
これら3種類のFIREは、経済的に独立してもう働かなくても良い状態を目指すという意味では全て同じです。何故目標金額によってカテゴリ分けをする必要があるかというと、それぞれのFIREにあたって関心の対象となるものに違いがあるからでしょう。
leanFIREを目指す人達はなるべく少ない資産で生きていくために、いかにコストをカットするか、無駄遣いを排除するかを考えるのがディスカッションのメインとなっています。またleanFIREは目標額が必然的に低くなるために、収入があまり高くないか、なるべく早くFIREを達成したいといった人が多い気がします。労働を心底嫌っているか、家族と過ごす時間を大切にしたいというように、自分の幸せの追求に重きを置くということですね。
一方のfatFIREを目指す人達はというと、彼らは日常の経費を削減することに関してはあまり興味が無いようです。fatFIのための目標額は数億円にも登る数字になるので、それを達成できる人ということは収入面では全く困るところはなく、贅沢も実現できる資金力を持っています。FIREを目指しつつ年間支出1000万円以上の生活をできるということは、企業の高いポジションについているか、自分で事業を営んでいるか、どちらにせよ自らお金を生み出すことのできる人ということでしょう。彼らはどちらかというと節税や不動産の運用の仕方といった富裕層ならではの話題が気になるようです。
普通のFIREはこれら2つの中間に位置しているという感じでしょうか。平均的な収入によって送ることのできるミドルクラスのライフスタイルを労働なしで実現したいというグループですね。
fatFIREは普通の人には関係ない?
Waste less, save more, spend consciously and wisely. こんなFIREムーブメントの趣旨に立ち返ってみると、一般的な人はfatFIREは考えなくて良いのではないでしょうか。
本来のFIREムーブメントは、消費社会に批判的な眼差しを向けることで経済的に自由となり、自分のやりたいことをして生きていくというライフスタイルの選択の筈です。fatFIREは経済的に独立はしているものの、結局現代社会が喧伝するOverconsumptionとInstant gratificationを迎合してしまっているような気がします。もちろんそれをサポートできるだけの資金を生み出せるのなら、そのお金をどう使おうと僕の口の出すべき話ではないですが、fatFIREは元々のFIREとは外れた存在ということはできそうです。
覚えておきたいことは、FIREはその人の置かれている環境によって様々な形を取って現れるということです。支出についてどのような考え方をしているのか、人生に何を求めているのか、今いくら稼いでいて、将来的に収入がどのくらい上がる見込みがあるのか。
それらを考慮に入れた上で普通のFIREを目指すのか、それとももっと支出を切り詰めleanFIREを選ぶのかというのを決断するといいと思います。
leanFIREを選択するリスク
leanFIREならFIの目標額を達成するまでの時間が比較的短いはずなので、なるべく早く自由になりたい人にはオススメです。ただleanという以上支出に無駄が無いというのも、もしもの時のリスクになり得るということも覚えておいた方が良さそうです。
4%ルールに従えば、基本的にFIREは96%の確率でうまくいくようですが、万が一前例を見ないほど壊滅的に株式市場がダウンしてしまった際、年間4%の資産の引き出しというのは確実ではなくなる可能性だってあります。そんな状況に置かれても、元々支出にいくらかの余裕を持たせてFIを達成していた場合ならその部分を調整し支出を減らすことで対応できます。ところがleanFIREを追求しすぎてどこにも支出を減らす余地がないとなると、急激な環境の変化が起こった時に生活すらままならなくなってしまう可能性もあります。このようなリスクも考えた上で、FIREの目標額を設定することが重要です。
ちなみに僕の年間支出は今のところ200万円ちょっと程度なので、金額的にはleanFIREの下限に値するようです。僕は無駄遣いはあまりしていませんが、あらゆる無駄を完璧に排除した生活をしているわけでは決してありません。たまには外食にも行きますし、ゲームを買ったりもしています。これはFIREのメインの場であるアメリカとの物価の違いでしょうか。leanFIRE上限の400万円の年間支出ってだいぶ恵まれた生活ができるじゃないですか。日本のleanFIREはもっと低い数字でできるかもしれませんね。