FIREムーブメントにありがちな重大な誤解

仕事を辞めてニートになるなんてつまらない?

FIREムーブメントに対する批判として、若いうちに仕事を辞めてニートになるなんてもったいない!みたいな声が聞こえてきます。

FIREムーブメントはたまたまFinancial Independence Retire Early の頭文字がFIREと言いやすい単語を形成してしまったため、REつまり早期退職が流行ってるの?といった印象を与えてしまっています。
FIRE is spreading!と言ったような比喩表現をキャッチフレーズとして使っているポッドキャストまであります。(ちなみにこのポッドキャストChoose FIの内容自体は素晴らしいです。)ある意味広めやすくいいコンセプトではあると思いますが、REの部分にフォーカスが行き過ぎるのは良く無いのかなとも感じています。

Financial Independenceの方がはるかに重要

FIREムーブメントのコミュニティに参加している人達の意見を聞いていると、多くの人がFI つまりFinancial Independence 経済的自立の方をより重要視しているようです。
FIとは働かなくていいぐらいの資産を形成することであり、必ずしも仕事を完全に辞めるというわけではないのです。

経済的な自由を手に入れるというのは、もう自分がやりたくない仕事をやらなくていいということです。週末に月曜日のことを考えてブルーになる、そんな生活から抜け出せる。給料は少ないけど、やりがいや興味のある仕事に転職することにも躊躇わなくてよくなります。
自分の趣味を仕事にしようと挑戦できる。音楽やスポーツに没頭してみたいけど、それだけで食べていける自信がない。FIがあればそんな「夢」にも安心してチャレンジできます。お金を稼ぐことが二の次になる。自分で自分のセーフティネットを作り出すということなのです。

もちろん仕事を完全に辞めて遊びに生きるでも僕は全然構わないと思います。ゲームに没頭するでも、好きなだけ本を読みたいでも、あなたの人生です。誰か他人に生き方をとやかく言われる必要なんてないはずです。

今の仕事を辞めることが目標ではない

FIに到達しても、今の仕事が好きかもしれない。人間関係が良好で、やりがいもある。それならわざわざ辞める必要はありません。そんな人でもFIを目指すメリットは沢山あります。今は会社内の人間関係がうまくいっていたとしても、人が変わって気の合わない同僚や嫌な上司と働かなくてはならなくなるなんて当たり前に想像がつきます。もし不景気や会社の業績不振でリストラにあってしまったら?急な人事異動で望んでもいないのに遠方に勤務することを命じられてしまったら?

FIはこんな場合に真価を発揮します。嫌なら嫌と言えるのです。もう我慢できない!となったら会社を辞めても、一方的にクビにされても痛くも痒くもありません。人事評価を気にする必要がなくなり、無駄な気遣いに苦労しなくてすみます。あなたが会社を(そしてその給料を)求める以上に、会社の方があなたを必要とする。こんな普通はあり得ない力関係の逆転が起こるのです。

FIは会社にかけられた「黄金の手錠」から解放され、真に自分の自由な人生を生きるための手段なのです。だから普通の人にこそFIという考えを知ってほしい。30代、40代のアーリーリタイア!みたいなセンセーショナルなことを目指すのではなくても、55歳でFIに到ったとしてもいいじゃないですか。ゴール地点にFIを据えればきっと資産形成への考え方が変わるはずです。